カメラのキタムラ事例に学ぶ、データ可視化によるMEO対策とは|MarkeZine Day 2019 Autumn レポート

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株式会社キタムラ

店舗型ビジネスにおいて注目を高める「MEO対策」をテーマにしたパネルディスカッションが、MarkeZine Day 2019 Autumnにて開催されました。カメラのキタムラの事例を軸に「スモールスタート」「可視化は手段」など、MEO対策の施策のコツが語られます。

目次

    どこからはじめる?MEO対策

    マーケティング戦略におけるGMB(Googleマイビジネス)やGA(Googleアナリティクス)のデータ活用は業種を問わず広がりつつあります。一方で、自社の事業にマッチした活用法が見つからず、手探り状態のまま進めているという声もしばしば耳にします。

    そんな中、店舗型ビジネスのマーケティングにおいて、MEO対策に力を入れる企業が増えています。MEO対策はGoogleマップ上のローカル検索順位を高めるマーケティング手法で、SEO対策と並ぶ重要な戦略として注目を集めています。「近くの〇〇を探す」という検索パターンが日常化し、ユーザーの位置情報に基づく"ローカル検索"の利用者が急増したことで、注目されるようになりました。

    MEO対策は今や避けては通れないテーマですが、その有効性は分かっていても、何から始めたらいいのか分からないと頭を抱えるマーケターの方も多いのではないでしょうか。

    9月12日に開催された「MarkeZine Day 2019 Autumn」では、実際にそれらの課題に直面し、対策を施したカメラのキタムラの事例を主としたパネルディスカッションが行われました。タイトルは『カメラのキタムラが実践した店舗集客に直結するGA活用と、検索キーワード分析による新たなMEO手法とは』。スピーカーは株式会社キタムラ デジタル推進部 デジタルマーケティング リーダーの上田寛人(うえだ・ひろと)さんと、株式会社ヴァリューズの和田尚樹(わだ・なおき)さん、モデレーターは同じく株式会社ヴァリューズの岩村大輝(いわむら・だいき)さんです。本稿ではそのレポートをお届けします。

    カメラのキタムラのGA活用の取り組み

    株式会社キタムラは、全国に750店舗を展開する「カメラのキタムラ」や「スタジオマリオ」の運営を主軸とする店舗型ビジネス企業。デジタルマーケティングにおいても、店舗集客が重視されているといいます。

    「自社の取り組みとして、これまでにもCV経路分析は実施してきました。しかし、豊富な商品カテゴリがある中で、それぞれの競合データ分析まではできていなかった。それが分かれば、あらゆるマーケティング戦略が立てられるのではないか、と考えていました」と上田さんは当時を振り返ります。

    株式会社キタムラ デジタル推進部 デジタルマーケティング リーダー 上田 寛人(うえだ・ひろと)さん
    一橋大学法科大学院を卒業後、制作会社を経て、 リクルートマーケティングパートナーズで、カーセンサーの集客を担当。在職中、UXENT株式会社を共同創業し、CMOを担当。2017年にCCCグループ入り。 2018年12月よりキタムラのデジタル推進室にCRM責任者として出向。2019年4月よりデジタルマーケティング のリーダー。コンテンツマーケティングとCRM基盤構築、各領域のデジタルマーケティングを実行推進する

    そこにヴァリューズの和田さんが参画し、独自のパネルデータを使って外部環境を可視化する取り組みをスタート。「商品カテゴリごとの自社および競合他社のCV経路を可視化して、さらなるデータの価値を生み出すことに踏み切りました」

    株式会社ヴァリューズ ソリューション局 マネジャー 和田 尚樹(わだ・なおき)さん
    2009年京都大学情報学研究科修士課程早期修了。 2012年京都大学情報学研究科博士後期課程単位認 定退学、2012年株式会社ヴァリューズに新卒1期生として入社し3年間新規営業を経験したのち、 現在はデータ分析組織のマネジャーを務める。

    その結果、競合データを活用した管理も軌道に乗り、SEOを中心としたウェブ改善の成果が現れはじめました。しかし、上田さんがあるとき気付いたのが、「これだけ苦労して達成したSEOの1位よりも、さらに上位に表示されるのはマップ検索だ」ということ。この現実を知り、「店舗集客のためには、ここに注力しなければいけない」とMEO対策を本格化することになったといいます。

    MEOに必要なデータを可視化

    「MEO対策としてまずはデータを分析しようと考えましたが、実際にやってみようとすると、GMBの管理画面が店舗ごとに分かれていて、750店舗分の膨大なデータを集めてくるのは現実的ではありませんでした。このままでは満足な分析ができず、我々だけでは手が付けられない状態に陥った。そこで和田さんに相談しました」と上田さんは話します。

    そこで和田さんはまず、店舗ごとのGMBデータの一覧化を行いました。加えてそれだけでは情報が不十分なので、GAデータや、近隣の競合データ(何キロ圏内に競合店舗があるのか)など、各店舗の付加情報を加えて、それらをまとめて確認できるダッシュボードを作成したと言います。

    さらに、各店舗の集客状況もランキング形式でビジュアライズ。各店舗の集客傾向を把握するため、指名検索なのか一般キーワード検索(「七五三 写真」など)なのかといった検索パターンを可視化しました。これにより、ランキングと検索パターンを照らし合わせて、店舗ごとの課題を明瞭化し、改善の予知を分析できる仕組みを構築しました。

    では、実際にまとめられたデータを使って、どのようなMEO対策が考えられるのでしょうか。

    「まずは、MEOでうまく集客できている店舗とできていない店舗を比較することから始めると思います。そして流入に繋がっている非指名の「証明写真」「写真撮影」などのキーワードを調べ、集客できていない店舗のGMB上の説明文・店舗のホームページにそのキーワードを追記する。それだけでもかなり効果が現れるのではないでしょうか」と上田さんは話しました。

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    データの可視化は手段であって目的ではない

    MEOを推進する準備段階として、まずはGMBおよびGAデータを一元化し、仮説を立てられる仕組みを構築しましたが、「ダッシュボードを作るだけでなく、それをアウトプットイメージに落とし込むときに、的確に分析できるパートナーがいることが重要」と上田さんは言います。

    可視化されたデータを適切に分析し、アウトプットに落とし込むノウハウや人材も、データマーケティングには重要だということでしょう。

    モデレーターの岩村さんは、「データマーケティング組織作りにおいて最も重要なことは、可視化は目的ではなく手段として用いること、スモールスタートで始めることの2つ。それがマーケティング組織を構築する近道だ」と述べ、ディスカッションを締めくくりました。

    株式会社ヴァリューズ データマーケティング局 マネジャーの岩村大輝さん

    データの一元化やダッシュボードの作成に追われると、本来の目的を見失いそうになるかもしれません。しかし重要なのは目的を明確に定めてデータ分析を行うことです。そのためにまずはスモールスタートからは始め、何度もトライ&エラーを重ねることが、優れたデータマーケティング組織を生み出すための一番の近道なのかもしれません。

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