スカイライト コンサルティングが展開するサービス
―― スカイライト コンサルティング株式会社様には、日頃からWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を活用いただいています。本日は改めてお取り組みの詳細をお伺いできればと考えていますが、まず貴社の事業内容ついてお聞かせいただけますでしょうか。
スカイライト コンサルティング 清水 昌浩氏(以下、清水):当社は2000年創業のビジネスコンサルティング会社で、大企業や中堅企業を中心に、戦略立案や業務改革、ERP刷新、DX関連のプロジェクトを支援しています。また、ベンチャー投資・育成やスポーツビジネス、グローバスビジネスを展開しています。
清水:私自身は、新規事業の企画開発やデジタル関連の戦略支援、マーケティングやCX戦略支援などに携わっています。業界は幅広く、アメリカやアジアなど海外事業も支援しています。
戦略検討に活かせる競合データの入手が課題
―― なぜ、Dockpitの導入に至ったのでしょうか。導入以前の状況や課題感と併せてお聞かせください。
清水:競合情報の入手に課題を感じていました。
デジタル戦略立案やCX戦略の支援を行う際には、前段として3C分析やSWOTなどの基礎的な事業環境分析を実施します。その際、どの企業も自社に関する情報は山のようにあるのですが、競合のものとなると極めて少ない状況です。IRやプレスリリースなど一般公開されている情報をチェックするほか、会社分析系のサービスを利用していましたが、労力がかかりますし、何より情報に物足りなさを感じていました。なぜならそれらは「現在」の情報であることが多いからです。
戦略検討においては、現在の市場や産業内におけるポジショニングに加え、今後の見立てを明確にすることが求められます。その検討のためには、自社・競合の「現在」の断面の情報だけでなく、過去からの推移を見る必要があるのです。
Dockpitは競合データを含め、最も過去の月で38ヶ月前まで遡って定量データを見られることが、選定の決め手になりました。
主にビジネスデューデリジェンスにDockpitを活用
――現在どのようにDockpitを利用されていらっしゃるか、ユースケースを教えてください。
清水:典型的なユースケースの一つとして、ビジネスデューデリジェンス(買収先の将来性やシナジー効果を分析するプロセス)に使っています。
買収先の評価や分析を実施する際に対象企業の社長インタビューを行うのですが、お話だけで判断することはできません。さらにDockpitを使って、対象企業の自社サイトそして競合や市場の動向などを確認して過去数年の定量データを把握し、事業評価に役立てています。
また、戦略検討やCX戦略検討の前段となる、事業・競合・周辺市場動向を調査する際に、Dockpitを使って支援企業のデータと競合データを参照しながら判断しています。支援企業のデータだけでは、判断を大きく誤る場合があるからです。例えば、社長インタビューなど、企業側が話す内容の前提が客観的に見ると違っていたということがありました。仮に「毎年120%成長しています」と企業側が自信を持って言ったとしましょう。確かに120%という数字だけみればよく聞こえますが、競合が200%成長だとしたら、負けている状態になります。
より個別施策レベルでいうと、支援する企業が勝ちつつあるのか、負け始めているのかを見る際に使っています。企業サイトと競合サイトの検索流入を3年前から月次で見ていったとき、企業サイトの検索流入量がずっと横ばいだったとして、「市場の検索総量:増、競合の検索流入量:増」であれば、状況としては良くないと言えますし、「市場の検索総量:減」なら、かなり頑張っていると言うことができます。
マーケティング戦略検討の最上流部分の分析・評価に役立つ
――Dockpitによって得られた具体的な成果や発見がありましたら、教えてください。
清水:あるデジタルビジネスのデューデリジェンスを行った際、Dockpitデータで買収対象企業の競合サイトを特定したことで、対象市場の定義と立ち位置自体を修正することにつながったケースがありました。
当初、その企業は「ハイクオリティなサービスとしてユーザーに認知されている」という認識でしたが、Dockpitでサイト状況を見たところ、ユーザーは、安価な商品が中心のサイトと見比べていることが多いことが分かりました。セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)を変更し、投資後のマーケティング戦略シナリオの変更にもつながりました。
つまり、3C分析をDockpitで行ったことでSTP変更につながり、結果マーケティング4Pのシナリオも変更した、というマーケティング戦略検討の最上流部分の分析・評価に役立ったということです。
このように、Dockpitを活用することで、事業戦略や投資判断などの重要意思決定がより適切に行えていると思います。
データ活用で求めるのは「正しい答え」ではなく「可能性」
――業務で利用する上でDockpitに関しての課題にはどのようなものがありますでしょうか?今後、さらに改善したいポイントがありましたら教えてください。
清水:Dockpitには慣れが必要だと感じるので、誰でも、より使いやすいようになると嬉しいです。また、データ分析の自動化や標準化には改善の余地がまだあると考えています。
――最後に、データ活用について今後の展望をお聞かせください。
清水:今後はいわゆるDX関連ではない領域、例えばMaaS関連やサーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブのような領域の新規事業を支援する機会が増えていくと考えています。生成AIの活用も進んでおり、質問をすれば適切な形で既存情報をまとめて回答してくれるので、私たちとしてもありがたく活用しています。
ただし、私たちが求めているのは「正しい答え」ではなく「可能性」です。
大量のデータを保有している、かつ生成AIとは違った形で見せようとしているヴァリューズさんと今後も一緒に取り組んでいきたいと思います。
取材協力:スカイライト コンサルティング株式会社